ノーベル賞と内閣改造

京都大学の本庶佑特別教授がノーベル医学生理学賞を受賞した。その功績は、免疫の「司令塔」であるT細胞の表面に免疫活動のブレーキ役である免疫チェックポイント分子「PD-1」の発見で、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の開発につながった。
オプジーボは2014年、患者数の少ない一部の皮膚がんの治療薬として発売され、その後、適用拡大された肺がんでは年間約1万人に使われている。また、厚労省は胃がんにも使えるようにすることを了承した。オプジーボを巡っては、「1人当たり年間3500万円」の医療費が掛かるとされ、健康保険財政への影響を懸念する声が上がり、厚労省はその価格を引き下げた。
厚労省といえば、第4次安倍改造内閣が発足した。先の総裁選挙で安倍首相が再び勝利し、安倍1強はますます強くなるばかりだ。官邸主導の政治はさらに強化され、その結果、霞が関の役人たちは忖度に走り、森友・加計学園疑惑を上回る問題が起きる可能性もある。
何よりも怖いのは、政権の長期化によって政治が活性化しなくなることだ。政治家が政治の本道を忘れ、自己の利益追求を優先する。ノーベル賞受賞の本庶佑教授は、「本質を見抜く力」を説いている。政治家達は、アクセルを踏み続けるだけでなく、一旦立ち止まり、時には「司令塔」のブレーキ役であることも必要ではなかろうか....?