意地悪じいさん
昔、ある所に正直なお爺さんとお婆さんが住んでいました。ある寒い日、川で凍え死にそうな子犬を拾い、「シロ」と名付けて我が子のようにかわいがりました。ある日シロが、お爺さんとお婆さんを裏の畑に連れ出し「ここ掘れワンワン」と吠えました。そこでお爺さんがシロの足元を掘ってみると、大判小判がざっくざっくと出てきました。それを知った隣の意地悪爺さんと婆さんが、嫌がるシロを裏の畑に連れ出して真似して掘ってみましたが、お宝どころか沢山のお化けが出てきました。怒った意地悪爺さんと婆さんは、シロを殺してしまいました。
正直爺さんと婆さんは、泣きながらシロのお墓を作り、一本の枝をさして弔いました。するとその枝は、あっという間に大きな木に成長し、お爺さんはその木で臼(うす)を作ってお餅をついてあげました。不思議な事にその餅は、大判小判に変わりました。隣の意地悪爺さんと婆さんも、その臼を借りて餅をついてみましたが、全部が石ころに変わりました。怒った意地悪爺さんと婆さんは、シロの臼をたたき割り風呂の焚き木にして燃やしてしまいました。
悲しみに暮れた正直爺さんと婆さんは、泣きながら燃えカスの灰を持って帰りました。灰が風に飛ばされ木に降りかかると、きれいな桜の花が咲きました。たまたま通りかかった殿様が、桜の美しさに大喜びし褒美を取らせようとすると、そこへ意地悪爺さんと婆さんが乱入してきました。殿様のご褒美を横取りしようと、真似して囲炉裏(いろり)の灰をぶちまけると、花が咲くどころか殿様が灰まみれになってしまいました。
意地悪爺さんと婆さんは、怒った殿様に逮捕されました。世の中には、理不尽な行動をとる人がいます。”天に向かって唾を吐く”行為は、そのまま自分の顔に落ちてくると心得たいものです.....。