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春分の日


 「暑さ寒さも彼岸まで」、本日は春分の日です。桜が咲き始め、春本番となったところで訪れた「寒の戻り」は今日がピークらしい。明日以降、再び暖かくなる所も多くなるそうです。寒暖の変化が大きいため、体調を崩さないようご注意ください。

  お彼岸には、お墓参りに行くという方も多いと思います。では、なぜ、お彼岸にお墓参りに行くことが良いとされているのでしょうか?仏教では、死者は三途の川を渡って、あの世(悟りの世界、極楽浄土)へ行くと考えられています。このあの世のことを「彼岸」といい、この世(私たちのいる現世)を「此岸(しがん)」と呼びます。 彼岸は西の方向にあるとされ、此岸は東にあるとされており、太陽が真東から昇って真西に沈む春分の日は、西にある夕日に向かって拝むことは浄土に向かって拝むことになると言われています。

 さて、先日の句会に「春霞 片割れ時に 在りし君」と投句しましたところ、メンバーから”片割れ時”の意味が解らないと言われました。これは、2016年公開映画”君の名は”をモチーフに作った句ですが、おじいさん、おばあさん方は映画を観ておらず、理解不能だったようです。念のためストーリを紹介すると、夢と現実をモチーフにした恋愛ものです。彗星事故という時間と、身体が入れ替わるといった空間的な差を両方描いており、『おれがあいつであいつがおれで』(身体の入れ替え)とSFのタイムスリップものが組み合わさった作品です。そして身体の入れ替わる”片割れ時”とは、夜と昼の間の時間帯。要は黄昏時の事なのです。まさしく、夕日に向かって浄土を拝む時間帯なのです。

 この”片割れ時”は、劇中でも説明がありますが、語源は万葉集の「誰そ彼(たそかれ)と われをな問ひそ 九月(ながつき)の 露に濡れつつ君待つ我そ」(誰、あれは?と私に尋ねないでください。あれは九月の露に濡れながら君を待つ私なのですから)という和歌から来ているらしい。一方、新海誠監督自身も、小野小町の古今和歌集「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを」(あの人のことを思いながら眠りについたから夢にでてきたのだろうか。夢と知っていたなら目を覚まさなかっただろうものを.... )をモチーフに製作したらしい。おじいさん、おばあさん達はもっと、映画を観て、和歌も勉強し、小生の句の奥深さを理解して欲しいなあ(笑い)......。

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