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芥川賞と終末期医療

 昨日、芥川賞に石井氏と若竹氏、直木賞に門井氏の受賞が決まった。今回興味を引くのが、若竹千佐子さん、62歳のおばさんの受賞である。受賞作「おらおらでひとりいぐも」は、主人公が老いや孤独に直面しながらも自由に生きようとする様子が東北弁を交えたリズム感のある文章で描かれているらしい。

 一方、医療従事者が、終末期の患者や施設利用者の治療・療養方針を患者や家族と事前に話し合う「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)を、約7割の医師が実施していないことが17日、厚生労働省の「人生の最終段階における医療に関する意識調査」の結果で明らかになった。同省では、新たなガイドラインを3月中にも取りまとめる方針だそうだ。

 本格的な高齢社会を迎え、疾患構造の変化、医療資源の偏在など、対応すべき様々な課題が生じております。とくに、高齢者に関しては、多疾患の併発や認知症等だけでなく、終末期の問題も喫緊の課題であり、在宅医療に身を置く者としては、これらにどう対応するかが問われています。例えば、高血圧、褥瘡、嚥下性肺炎と多疾患を併発した認知症患者が増えるなど、現場には混乱も出じております。直近でも、施設患者2人がほぼ同時刻に急変し、その対応に追われました。

 先の若竹さんは、受賞に際して「人生の終盤にこんな晴れがましいことが起こるなんて信じられない」とコメントしています。62歳は到底人生の終盤とは思えないわけですが、本日、トラックと自家用車の正面衝突の被害者側が当クリニックを受診されました。もちろん軽症のため当クリニック受診となったわけですが、雪によるスリップ事故と思いきや、どうも加害者はセンターラインをわった認知症患者らしい。これも高齢者社会の余波とも思え、「おらおらでひとりいぐも」と笑い話にもならないのが現実です。

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