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横綱の品格


 八角理事長、声つまらせ「日馬富士の問題によりご迷惑を…」、千秋楽の協会あいさつで異例の言及。その後も、理事長が声をつまらせる場面があった。

 今回の日馬富士の暴力事件の源は、白鵬にあるのではないかと考えられる。そもそも今回の騒動は、「あなた達の時代は終わった」との貴ノ岩の発言に端を発している。いわゆる、モンゴル3横綱が、貴ノ岩を呼び出し、お灸を据えた展開が察せられる。大親分の白鵬に無礼と若頭役の日馬富士が殴りかかったわけだが、白鵬は手を汚さず、ことに及んだものだと思われる。

 大鵬の幕内優勝32回を超え、今場所で40回目の優勝を達成し、「最強横綱」の称号を手にしているが、その強さゆえの驕りなのか、あるいはこれが白鵬なりの「品格」なのか?今場所の初黒星に公然と判定に抗議している。以前、週刊ポストは、歴代6位の幕内優勝22回を誇る貴乃花親方に、白鵬についてどう考えているかを直撃したことがある。

 貴乃花親方もまた孤独な横綱であった。現役時代は「何を聞いてもほとんど答えない記者泣かせの力士だった」という一面は今の白鵬と重なる。 しかし、寡黙とはいっても横綱・貴乃花は記者会見を拒否するようなことはなかったし、ましてや審判を批判したこともない。強さだけでなく、そうした姿勢が「大横綱」と称された所以だった。そして現在は協会の大幹部として力士たちに大相撲の品格を守らせる立場だ。それは相手が史上最強の横綱であっても同じだろう。今回の背景にあるのは、もしかしたら、「貴乃花」と「白鵬」の戦いなのかもしれない......。

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